vol.5)「人間との対話」と「生成AIとの対話」は何が違うのか?

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「人間との対話」と「生成AIとの対話」は何が違うのか? その5)。
「人間との対話」と「生成AIとの対話」は何が違うのか?  ポイントは以下の3つです
①アブダクション推論 ②記号接地問題 ③論理性と物語性
前回から、「②記号接地問題」を取り上げています。
ポイントは、AIは身体をもたない・言語の世界でしか考えていない ということです。
AIは「リンゴ」について説明できますが、手に取ったことも食べたこともない。
身体をもたないので、言葉の上でしか理解できず、実感することができない。
実感することができないということは、現実世界とつなげられないということです。
すなわち、「接地」しない。言葉を次から次へと言い換えているだけ。
言ってみれば、言語(記号)の世界をフワフワ漂っているような状態なのです。
これが「記号接地問題」です。   ⇒ここまでが前回のお話。
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では、身体をもつ人間が、五感をつかって理解・実感することについて見てみましょう。
人間が、リンゴをもつ。色、重さ、冷たさ、固さ・・・。
食べてみる。香り、歯ざわり、音、味、そして後味・・・。
実に「豊かに」理解・実感します。
しかも、これらの感覚がつながって記憶されます。
リンゴを見るだけで、唾液が分泌される。
経験によって、脳・身体の各部署のリンクが張られた状態となります。
これを「重層的な理解」と言います。
言葉だけで理解しているAIとは、ずいぶん違いますよね。
ちょっと、というか、かなり余談ですが、
東京大学のある研究室でVR(ヴァーチャルリアリティ)の研究をしていました。
そこで、「美女が耳元でささやく映像」をつくったそうです。
面白いのが、映像を見ているだけなのに、耳元に吐息を感じる人がいる。
VRですから視覚情報だけで、耳元に操作はしていないんです。
ホストクラブの従業員に映像を見せると、全員吐息を感じたそうです。
一方で、研究室の東大生たちは、誰も吐息を感じなかったそうです。
「東大生は経験による感覚のリンクが張られていない…」ということですね。
・・・何の研究をやっているんだ、東大は(笑)。
話を戻しますが、このように五感をつかって重層的に理解・実感できると、
いくつかのリンゴを経験するだけで「リンゴの共通性」が把握できます。
リンゴは、いろんな種類がありますが、「これはリンゴだ」ってわかりますよね。
非常に似た形状である「梨」とカン違いすることはありません。
じゃあ、「リンゴって何なんだ?」とあらためて聞かれると、よくわからないですよね?
だけど、リンゴはリンゴだとわかりますよね。梨と混同しない。
これが人間の面白いところです。
もう少し言いましょう。「犬」って何でしょうか?
これも、不思議なんですよね。
子供に何種類か犬を見せると、「これは犬だ」と理解します。
親が特に説明しなくても、ネコとは混同しません。
さらに、絵にかいた犬を「犬だ」と理解します。
よく考えると不思議ですよね。
人間には「抽象化する力」があるんです。
いくつかの個物を見て、その共通性(本質)を見抜く力がある。
こうした能力は、AIでは簡単に再現できません。
こうした能力は、赤ん坊のうちからウニャウニャと手足を動かして、
五感をつないだ感覚のネットワークをつくり、
それを基にして「この世界」を理解・実感しているからこそできるんです。
このようにして世界を見ている「人間」とAIはまったく別物です。
なので、人間が今やっている仕事を、そのままAIが代替するというのはナンセンスです。
ちなみに、「犬って何なんだ?」というのは、古来から現在に続く大問題です。
哲学って、ここから発達してるんですよ。
プラトンは、「犬という『イデア』があるのだ」と主張しました。
ネコにはネコのイデアがある。人間には人間のイデアがある。
プラトンの弟子のアリストテレスは、それを真っ向から否定します。弟子なのに。
「いやいや、そんなことないでしょ。犬ってカテゴリーがあるんだよ」というわけです。
そうして、カテゴリー毎に物事が研究されるようになった。
なので、アリストテレスは「万学の祖」と呼ばれています。
現在に続く「論文」の書き方なども、アリストテレスが始めたものです。
今回は、人間が理解・実感する=「わかる」について書いてきました。
次回は、人間が「できる」ということについて書いてみたいと思います。
次回配信も、やはり未定です(苦笑)。
ゆる~く書いていきますので、引き続きお付き合いください <(_ _)> 。
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