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【クロスロード辻口の、対話上手になるメルマガ】
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クロスロードの辻口です。
今日は、
「特徴をつかむ」のが上手い人。「本質をつかむ」のが上手い人。
というお話です。
教える仕事をしていると、いろんな人を目にします。
飲み込みが早い人、遅い人。
講義内容を、そのまま理解する人、自分なりに理解する人。
全体的に見る人、部分的に見る人。
ホント、さまざまです。
中には、私の口調をコピーするように学んでしまう人がいます。
ちょっとした「ものまね」という感じですね。
おそらく、特徴をつかむのが上手いんだと思います。
こういう人は、とても器用で飲み込みも早いですね。
演習の時も、議論を活発にするタイプが多く、
この手の方がいてくれると、研修を進めるのがとてもラクになります。
一方で、それほど習得は早くないけど、自分の経験と照らし合わせながら、
じっくりと学んでいく人がいます。
こういう人は、「特徴をつかもう」というより、
「本質をつかもう」としている感じがします。
その分、習得は遅い人が多い。
中には、初めのうちトンチンカンな質問をすることもある。
だから、一見すると、あまり優秀ではないような印象を受けます。
でも、最終的には、高いレベルまで到達する。
この、「特徴をつかむ」「本質をつかむ」のどちらがよいと、
いうわけではありません。
この両方を、兼ね備えた人もいますしね。
でも、一般的には、「特徴をつかむ」タイプの人のほうが、
評価されているように思いますが、いかがでしょうか。
ちなみに、坂本竜馬という人は、
本質をつかむのが上手だったと言われています。
若い頃、土佐で蘭語塾に通っていて、蘭語はさっぱり覚えなかったけど、
テキストで使っていた法律概論の訳を聞いているうちに、
いつの間にか民主主義の仕組みを理解してしまったそうです。
封建主義が当たり前の世の中で、「政治は民のためにある」という考え方に
当時の竜馬は本当に驚き、感動したそうです。
「竜馬のこの時の感動が、その後の日本の歴史を動かすことになった」
と司馬遼太郎さんは「竜馬がゆく」で書いています。
そして、ある時に、竜馬は先生の誤訳を指摘します。
竜馬:「今の訳、間違うちょります」
先生:「どこが、間違うちょるか?」
竜馬:「どこかわかりませんが、ただずっと間違うちょります」
先生:「お前のいうことはわからん」
竜馬:「もう一度、よく原文を見てくだされ」
すると、あきらかな誤訳だったそうです
竜馬は蘭語は出来ませんでしたが、先生の訳を聞いていて、
「民主政体で、そのようなことをするわけがない」ということを感じて、
誤訳を指摘したのですね。
竜馬には、物事の本質を理解する才能があった。
でも、「勉強が出来る」というわけではなく、教師たちに愚鈍者扱いされ、
竜馬は「自分は馬鹿だ」というコンプレックスを生涯抱き続けます。
「勉強だけでは測れない才能がある」ということですよね。
教える立場の者は、気をつけなければいけませんよね・・・。
そういえば、優秀な職人さんたちは、どちらかというと、
「本質をつかむ」ほうではないかと思います。
「特徴をつかむのが上手な人」は、アウトラインをつかむのが上手だし、
何より「ものまね」が出来ますから、教えるのも上手です。
でも、「本質をつかむのが上手な人」は教えるのが得意ではありません。
よく、「優秀な職人の技術伝承が進まない」と問題になっていますが、
それは、こうしたところにも原因があるのかもしれません。
ちなみに、よく「先輩の背中を見て盗め」と言いますよね。
あれ、なんでそう言われるのか、ご存知ですか?
背中を見て学ぶと、「当事者と同じ目線」になれるんです。
でも、前から見て学ぶと「コピー」になってしまう。
「当事者と同じ目線」で学ぶからこそ、本質が理解出来る。
そういうことなんだそうです。
結構、奥が深いですね。
さて、私の背中を見て、何かが学べるだろうか?
そう考えると、ちょっとマズイなあ・・・汗。
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●編集後記
先日、ある研修を受講したのですが、その時にご一緒した方は、
なんと85才の女性でした。しかも、現役のお医者様だとのこと。
「長く続ける秘訣は何ですか?」とお聞きしたところ、品の良い声で、
「だって、やめる理由がないんですもの」。
しびれました。
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