vol.615 => 「統合知」というものについて・・・

□■□■-----------------------------2021.8.23---□■□■

 【対話の中に答えがある ~ クロスロード辻口の「対話上手になるメルマガ」】

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クロスロードの辻口です。

今日は、

     「統合知」というものについて・・・

というお話です。

 

2001年に、こんな興味深い心理学の実験が行われました。

日本人のグループとアメリカ人のグループ。

これら2つのグループに、水中の様子を描いたアニメーションを見せました。

 

その後、各被験者に「何が見えましたか?」と聞いたところ、

2つのグループはまるで別のアニメを見たように違うことを語りました。

 

日本人は、「水は緑色で、川のように流れがあり、魚がいて、底には石や貝や水草がありました」。

アメリカ人は、「お腹が白くピンクの斑点がある大きな魚が3匹、左に向かって泳いでいました」。

 

「日本人は背景や状況に注目する傾向があり、アメリカ人は手前や中心にある『もの』に注目する傾向がある」ということですね。

 

次の実験では、別のアニメーションを見せました。

やはり水中の様子を描いたもので、前回と同じ点もあれば違うところもある映像です。

 

すると、日本人は背景の違いには気づいたが、魚の違いは識別できない割合が高かった。

逆に、アメリカ人は魚の違いには気づいたが、背景の違いは識別できない割合が高かった。

 

面白いですよね。。。

 

でもこれ、ビジネスに置き換えて考えると、ちょっと怖くないですか?

日本人だけで見ていると、魚の違いが識別できない。

アメリカ人だけで見ていると、背景の違いが識別できない。

 

すなわち、「同じような人たちで、同じような視点で見ていると、変化に気づけない」ということです。

 

 

ここで、もうひとつ問題があります。

今回の実験では、被験者に個別に「何が見えましたか?」と聞いています。

これが、みんなと一緒の部屋で、一人一人順番に、何が見えたかを発表させると、どうなるか。

「前の人の発表に引きずられる」のです。

 

別の実験ですが、自分の前までの意見が一致している状況で、違った見解を表明できる人は30%だったそうです。

これはアメリカの実験ですので、同調しがちな日本人だったら30%もいかないんじゃないかな。

いろんな人で、いろんな視点で見て、誰かが重要なことに気づいたとしても、それが表明できない可能性がある。

 

少し大きなことを言いますが、私はここに「現代の日本の閉塞感を打破するポイント」があると思っています。

 

同じような人たちで、同じような視点で見ているから、重要なことに気づけない。

さらに、誰かが何かに気づいたとしても、同調圧力があるから表現できないし、話し合うことができない。

だから、ブレイクスルーにつながらない。

 

いろんな人で、いろんな視点で見て、気づいたことを心置きなく表現できて、話し合うことができる。

こうした状態を、意識的につくることが大切です。

 

 

ここで、「いろんな人で、いろんな視点で見て、気づいたことを心置きなく表現して、話し合う」ことによって得られた知見を「統合知」と命名したいと思います。

 

対話力を強化すると、何がいいのか。

「関係が良好になる」「皆がやる気になる」というのは、皆さんよく理解されていると思います。

そして、「統合知が得られる」

こうしたメリットを、受講者の皆さまに得ていただけるように、研究を続けていこうと思っています。

 

今後、「統合知を得る」ことをテーマにして、コラムを書くつもりでいます。

それから、「まとまらない話」などでもお話ししようと思っています。

決まったら、ご案内しますね。

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