vol.682 => 「なぜ、●●なのか?」に気をつけよう・・・

□■□■-----------------------------2023.1.23---□■□■

 【対話の中に答えがある ~ クロスロード辻口の「対話上手になるメルマガ」】

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クロスロードの辻口です。

今日は

    「なぜ、●●なのか?」に気をつけよう・・・

というお話です。

 

「なぜ、●●なのか?」

書籍やネット記事のタイトルで、よく見かけますよね。

「なぜ、日本企業の労働生産性は低いのか?」

「なぜ、日本の一人当たりGDPは低迷しているのか?」

「なぜ、日本人は対話が苦手なのか?」

等々・・・。

 

この表現には、気をつけてください。

「なぜ、●●なのか?」と問いかけることによって、
「●●である」ことを疑わせないで、本題(当人の主張)に入ることができます。

 

たとえば、
「2021年の日本の一人当たりGDPは27位です。なぜ低迷しているのでしょうか?」
こう問いかけた後に、「いかに日本の企業や組織がダメか」という主張を述べる。

 

いや、ちょっと待ってください。

たしかに、日本の成長率は低いし、企業や組織に問題はあります。

でもね、「一人当たり名目GDPのランキング」をよく見てみましょう。

1位  ルクセンブルク
2位  アイルランド
3位  スイス
4位  ノルウェー
5位  シンガポール
6位  アイスランド
7位  アメリカ

ん? あれ? と思いませんか? 上位って、みんな小国ですよね。

少し考えれば当たり前ですが、一人当たりGDPって「人口が少ない国のほうが有利」なんです。

「なぜ、●●なのか?」という問いかけから始めることで、
こうした疑問を抱かせないで、本文(当人の主張)に入ることができます。

 

さらに、この「なぜ、●●なのか?」という表現が危険なのが、
こう問いかけられると、それを裏付ける情報をつい頭に思い浮かべてしまうことです。

 

「なぜ、日本人は対話が苦手なのか?」

こう問いかけられると、「島国」「同調圧力」「以心伝心」などを思い浮かべますよね。

そして、本文(相手の主張)の中にそれらの項目が並べられると、「なるほどその通り!」と思ってしまいます。

これは、対話についての研究で有名な、劇作家の平田オリザ氏が言い始めました。

この話の流れで、「日本人は対話が苦手である」というのが定説になっています。

 

私は、この定説には反対です。

「日本人は、議論・討論は苦手だが、対話は得意であり、向いている」と考えています。

「対話」と「議論」 は何が違うのか?

 

「なぜ、日本人は対話が苦手なのか?」

「でも、一神教とか一党独裁でありながら、対話が得意というのもおかしいんじゃないの?」

こう考えてみても、いいんですよね。

 

「なぜ、●●なのか?」という表現を見かけたら、アヤシイと感じてください。

そして、その主張を鵜呑みにせず、「本当に●●なのかな?」という疑問を持ってください(^^)。

 

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